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白川方明、「日本人の生産性上昇率はG7最高なんです。ではなぜ成長できないのか?それは急激な人口減少と高齢化です。」

経済活動と物価の関係は、人間の基礎体力と体温の関係に喩えることがで
きます。体温を正常な状態に上げるためには、基礎体力を上げる必要があり
ます。これと同様に、物価を適度に上げるためには、日本経済の成長力、成
長期待を強化することが不可欠であり、それなしにデフレ問題の解決はでき
ないという事実を直視する必要があります。

しかし、成長力を強化するという課題は、日本が直面している急速な人口
高齢化という条件のもとではたいへん難しいチャレンジです。簡単な試算を
お示しします。経済成長率は、就業者数の増加率と、就業者一人当たりの国
内総生産、つまり生産性の上昇率に分解できます(前出図表6)4
。まず就業者数の増加率は、2000 年代に年平均で-0.3%とマイナスに転じた後、最近
発表された国立社会保障・人口問題研究所の推計値などを基に試算すると、
2010 年代に-0.7%、2020 年代には-0.8%、そして 2030 年代には-1.2%と
減少テンポを加速させていきます。一方、生産性の上昇率はリーマン・ショ
ックの影響もあって振れもありますが、最近のトレンドをみると過去 20 年平
均は1%、2000 年代に入ってリーマン・ショック前までの平均で 1.5%程度
です。ちなみに、この生産性の上昇率自体は現在でもG7諸国の中でも遜色
はなく、2000 年代に入ってリーマン・ショック前までの時期では最高水準で
す。しかし、この生産性上昇率を就業者数の減少率に足し合わせて経済成長
率を算出してみると、2010 年代には年平均 0.5%程度にとどまり、先行きは
もっと低下してしまうという厳しい計算結果が得られます。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120217a1.pdf